テープの製品仕様書(TDS)の読み解き方:完璧なテープを設計するために
一般的に、テープは單に「粘着力の強弱」だけで判断されがちですが、プロの世界では粘着力以外にも多くの重要な要素が存在します。理想的なテープを設計する際には、まずお客様の用途、被着体の材質、そして製造工程を深く理解し、それに基づいた全ての物性を設計する必要があります。
以下、弊社の製品仕様書を例に、主要な項目を解説します。

1. 製品構造(Structure):
まず、一般的な「テープ構造」か「ラベル(シール)構造」かを決定します。
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テープ構造: 通常、剥離フィルムや剥離紙を持ちません。
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ラベル構造: 剥離フィルム(ライナー)や剥離紙を備えています。
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剥離フィルム: 透明なステッカーの裏側にある透明なフィルムなどのことです。 弊社の UV剥離テープ、熱剥離テープ、ウェハ研磨用(BG)テープなどは、この剥離フィルムを備えたカテゴリーに属します。
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剥離紙: 文房具の両面テープで、使用時に剥がして捨てる紙のことです。
(左)一般的な両面テープから剥がした「剥離紙」 (右)ステッカー(シール)上の保護用「剥離フィルム」
※どちらも使用時に剥がして廃棄するものです。
2. 厚さ(Thickness):
剥離フィルムや剥離紙は最終的に廃棄されるため、製品の「総厚」には含まれません。特に基材レスタイプのテープでは、上下の剥離フィルムを除いた純粋な粘着層の厚みで計算する必要があります。
3. タック(Tack):
指で触れた瞬間に感じる「ベタつき」のことです。加壓する前の、接触した瞬間の直感的な粘着性を指します。
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高タック: 段ボールの封緘など、軽い力ですぐに固定したい用途に適しています。
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低タック: 位置合わせのために何度も貼り直しが必要な工程に適しています。
高タック: 段ボールの封緘など、軽い力ですぐに固定したい用途に適しています。
低タック: 位置合わせのために何度も貼り直しが必要な工程に適しています。
4. 粘着力(Adhesion):
テープの主役です。弊社が主に製造している**感壓性粘着剤(PSA)**は、圧力をかけることで粘着剤と被着体の表面分子を結合させます。通常、貼付から20分以上経過した後に測定される「剥離強度」を指します。
5. 巻き戻し力(Unwind Force):
ロール状のテープを引き出す時の力のことで、オレンジの皮を剥く感覚に似ています。 この力が強いと引き出しにくく、弱いとスムーズに剥がれます。両面テープなどで、どちらの面を先に施工するかを判断させる「防呆(ポカヨケ)」設計として、表裏で異なる巻き戻し力を設定することもあります。
6. 保持力(Holding Power / Shear Resistance):
実際の使用環境では、テープは静止しているだけでなく、荷重や張力がかかり続けます。例えば、段ボールを封緘した後、箱の反発力でテープが徐々に「ずれて」剥がれてしまわないよう、高い保持力(耐保持せん断性)が必要となります。
7. 適応温度(Application Temperature):
冷凍庫で使用するテープには耐寒性が、はんだ付けなどの高温工程で使用するテープには耐熱性が求められます。例えば、PCB(プリント基板)業界で使用されるマスキングテープには、極めて高い耐熱設計が施されています。
8. 保存環境および有効期限(Storage & Shelf Life):
テープは化学製品です。製造後も粘着剤の中の分子は反応を続けており、一定期間を経て安定します。しかし、温度、湿度、時間の影響で劣化が進むと、糊残り(レジデュー)や粘着力の低下を招きます。そのため、テープにも「寿命」が存在します。
以上の解説で、製品仕様書への理解が深まったでしょうか? 弊社では、用途の詳細をお伺いした上で、専門的かつ無料のコンサルティングを提供し、お客様にとって完璧なカスタムテープをご提案いたします。